赤ちゃんが生まれると、周囲の関心は自然と赤ちゃんに集まります。
「よく飲んでいる?」
「眠れている?」
「体重は増えている?」
どれも大切なことです。
でも、産後にもう一人、気にかけてほしい人がいます。
お母さんです。
赤ちゃんを守る立場になったお母さん自身も、支えられ、休み、助けを受けていい存在です。
助産師として多くのご家族と関わってきた中で、私はそのことを何度も感じてきました。
「頼ってください」と言われても、頼れないことがある
産後について、
「家族に頼りましょう」
「一人で頑張らないで」
と言われることがあります。
もちろん、とても大切なことです。
けれど実際には、頼りたくても頼れないお母さんもいます。
実家が遠い。
親が高齢である。
パートナーの仕事が忙しい。
家族との関係に悩みがある。
人にお願いすること自体が苦手。
事情は家庭によって違います。
だから、「頼れない自分が悪い」と考える必要はありません。
大切なのは、家族だけを頼り先にしないことです。
助産師、保健師、産後ケア、地域の子育て支援など、家庭の外にも相談先があります。
家族の形は、それぞれ違う
助産師として働く中で、さまざまなご家族に出会ってきました。
親子の関係も、パートナーとの関係も、家族との距離も、一つとして同じではありません。
だから、ほかの家庭を見て、
「どうして私は同じようにできないんだろう」
と比べなくてもいいと思います。
家族の人数も、支え方も、暮らし方も違います。
大切なのは、理想的な家族の形に近づくことではなく、今の家族に必要な支え方を探していくことです。
子育ては、家族だけでするものではありません
私は、子育てには「チーム」が必要だと考えています。
そのチームには、
パートナーや家族だけでなく、
助産師
保健師
産後ケアのスタッフ
地域の支援者
医療機関
などが入ってもいい。
友人に話を聞いてもらうことが支えになる日もあります。
大事なのは、一人ですべてを背負わないことです。
「誰に何を相談したらいいのかわからない」という場合は、まず自治体の母子保健窓口や出産した医療機関に相談する方法があります。
お母さんの体調も、赤ちゃんと同じように確認してほしい
産後は、赤ちゃんの変化にはよく気づくのに、自分の変化にはなかなか目が向かないことがあります。
ときどき、自分にも問いかけてみてください。
眠れているだろうか。
食べられているだろうか。
痛みは強くなっていないだろうか。
気持ちの落ち込みが続いていないだろうか。
誰かに話したいことはないだろうか。
何か気になることがあれば、「もう少し様子を見よう」と我慢し続けず、相談して構いません。
産後のお母さんを支えることも、赤ちゃんを支えることにつながります。
これまでのセルフケアを振り返って
このシリーズでは、産後1か月にできることを取り上げてきました。
- 心と体を休ませる
- 一人で抱えず、頼れるところを探す
- 食事や水分をとる
- 眠れるときに休む
- 呼吸や体の緊張に気づく
- 体を冷やしすぎない
どれも特別な方法ではありません。
そして、全部を毎日できる必要もありません。
産後のセルフケアは、「きちんとやらなければならないこと」を増やすためのものではなく、自分の状態に気づくためのものだと私は考えています。
お母さんも、守られる存在です
赤ちゃんを育てると、お母さんはいつの間にか「守る人」になります。
けれど、守る人にも支えが必要です。
疲れたときには休む。
困ったときには相談する。
できないことは誰かに任せる。
それも、子育ての一部です。
助産師として多くのお母さんと出会ってきて、改めて思います。
お母さん自身の健康や安心も、産後の生活の中で大切にしてほしい。
赤ちゃんのことを気にかけるのと同じように、ときどき自分の体と心にも目を向けてみてください。



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