赤ちゃんが生まれて、うれしいはずなのに涙が出る。
理由もわからないまま、急に悲しくなったり、不安になったりする。
「赤ちゃんはかわいい。それなのに、どうしてこんなに苦しいんだろう」
そう感じることはありませんか。
産後は、授乳、おむつ替え、抱っこ、細切れの睡眠……と、それまでとは生活が大きく変わります。
自分の食事や睡眠さえ後回しになることもあります。
そんな毎日の中で涙が出ることは、決して珍しいことではありません。
今日は助産師として、そして子育てを経験した一人の母親として、産後の心についてお話しします。
産後は、心も大きく揺れ動く時期です
出産後のお母さんの体には、大きな変化が起こっています。
出産による体への負担に加え、ホルモンバランスの急激な変化、睡眠不足、授乳や育児への緊張などが重なる時期です。
そのため、
「なぜかわからないけれど涙が出る」
「ちょっとしたことで悲しくなる」
「イライラする」
「自信がなくなる」
といった心の変化を感じることがあります。
「母親になったのだから、しっかりしなければ」と、自分を責める必要はありません。
まずは、今の自分が疲れていないか、振り返ってみてください。
助産師の私も、母親になって初めて分かったこと
私自身、助産師として知識を持っていても、母親になれば迷いました。
赤ちゃんが泣けば、
「おっぱいは足りているのかな」
「どうして泣いているんだろう」
「これでいいのかな」
と考えることがありました。
周囲から「助産師だから大丈夫でしょう」と言われることもありましたが、専門職として知っていることと、自分の子どもを育てることは別でした。
不安になったり、迷ったりする経験をして、改めて気づいたことがあります。
お母さんには正しい情報だけでなく、自分の気持ちを話せる場所も必要だということです。
「毎日ちゃんとしなければ」を少し手放してみる
産後は、赤ちゃんのお世話だけでも十分に忙しい時期です。
食事を簡単なものにする。
家事を後回しにする。
家族に頼む。
赤ちゃんが眠ったら、自分も横になる。
できることからで構いません。
一人で全部やろうとせず、今やらなくても困らないことは後回しにするのも、産後の大切な過ごし方です。
泣きたいときには、涙を無理に止めなくてもいいと思います。
ただし、「泣けば大丈夫」と考えて、つらさを一人で抱え続ける必要もありません。
つらさが続くときは、一人で抱え込まないで
産後の一時的な気分の落ち込みと、専門的な支援が必要な状態は同じではありません。
気分の落ち込みが続いている、何をしても楽しめない、強い不安がある、眠れる状況なのに眠れない、日常生活を送ることがとてもつらい――。
そのようなときには、我慢せず、産婦人科、助産師、保健師などに相談してください。
産後の健診を待たずに相談しても構いません。
また、自分や赤ちゃんを傷つけてしまいそうだと感じるなど、差し迫った危険がある場合には、すぐに医療機関などへ助けを求めることが必要です。
「相談するほどではないかも」と、自分だけで判断しなくて大丈夫です。
今日、自分のためにできる小さなこと
赤ちゃんのことを考える時間は、一日の中にたくさんあります。
その中のほんの少しを、自分にも向けてみてください。
「今日はちゃんと食べただろうか」
「少しでも横になれただろうか」
「誰かに話したいことはないだろうか」
特別なセルフケアでなくても構いません。
自分の疲れに気づくことも、大切な一歩です。
ママも「泣いていい」
子育ては、毎日百点でなくていいと思います。
うまくいかない日があっても、部屋が片づいていない日があっても、簡単な食事の日があってもいい。
そして、泣く日があってもいい。
ただ、その涙が何日も続いたり、「つらい」という気持ちが大きくなったりしたときは、どうか一人で抱え込まないでください。
助けを求めることも、お母さんと赤ちゃんを守るための大切な選択です。
花ことりでは、これからも産後のお母さんの心と体、母乳育児、赤ちゃんとの暮らしについて、助産師の視点からお伝えしていきます。
今日一日を終えたら、自分にもひと言。
「今日も、おつかれさま」
それくらいの優しさを、自分にも向けてみてください。



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