赤ちゃんが生まれると、お母さんとパートナーの生活は大きく変わります。
うれしい気持ちがある一方で、
「どう抱っこしたらいいんだろう」
「なぜ泣いているのかわからない」
「これで合っているのかな」
と戸惑うこともあります。
赤ちゃんが生まれたその日から、何でも分かる親になれるわけではありません。
お母さんもパートナーも、赤ちゃんとの毎日を重ねながら、少しずつ親になっていきます。
助産師として多くのご家族と関わってきた中で、産後のご家族に伝えたいことがあります。
産後は、お母さんの生活が大きく変わります
出産後のお母さんは、体がまだ回復している途中で赤ちゃんのお世話が始まります。
授乳、おむつ替え、抱っこ、寝かしつけ。
夜中にも何度も起きることがあります。
特に日中、一人で赤ちゃんと過ごしていると、
「どうして泣き止まないんだろう」
「母乳は足りているのかな」
と、不安になることもあります。
赤ちゃんが眠っている間にも、洗濯や食事など、生活の中でしなければならないことがあります。
気がつけば、一日中何かをしていた。
そんな日も珍しくありません。
産後は赤ちゃんの様子だけでなく、出産したお母さんの体と心にも目を向けてほしい時期です。
パートナーも、親になっていく途中です
パートナーにも戸惑いがあります。
赤ちゃんを抱くのが怖い。
おむつ替えに慣れない。
泣いていても理由が分からない。
「自分が抱いても泣き止まないから、お母さんのほうがいいのかな」
と思うこともあるでしょう。
でも、育児は経験しながら覚えていくものです。
お母さんだけが、最初から何でもできるわけではありません。
抱っこも、おむつ替えも、お風呂も、何度も繰り返しながら少しずつ慣れていきます。
「できる人を手伝う」のではなく、二人で覚えていく。
そんな気持ちで赤ちゃんとの生活を始めてほしいと思います。
「何か手伝う?」より、目の前のことを一つ
お母さんに、
「何か手伝うことある?」
と聞くことも、もちろん優しさです。
けれど、とても疲れているときには、「何をお願いするか」を考えて伝えることさえ負担になる場合があります。
そんなときは、
食器を洗う。
洗濯物を片づける。
赤ちゃんのおむつを替える。
ミルクを使っているなら、準備や片づけをする。
買い物を担当する。
赤ちゃんを抱っこして、お母さんが横になれる時間をつくる。
目の前にあることを、一つ引き受けてみてください。
「お母さんの育児を手伝う」というより、
家族として必要なことを、一緒に担っていく。
その感覚が大切なのだと思います。
「ありがとう」は、言葉にする
産後は、お互いに余裕がなくなりやすい時期です。
仕事を終えて帰ってきたパートナー。
一日中、赤ちゃんのお世話をしていたお母さん。
どちらにも、それぞれの大変さがあります。
そして、自分が経験していない大変さは、なかなか見えないものです。
だからこそ、
「ありがとう」
「今日はどうだった?」
「少し休んでいいよ」
そんな短い言葉を、意識して伝えてみてください。
大切なのは、どちらのほうが大変かを比べることではありません。
「自分のことも見てもらえている」
そう感じられることが、産後の夫婦にとって支えになることがあります。
お母さんの様子がいつもと違うと感じたら
一緒に暮らしているパートナーや家族だからこそ、気づける変化もあります。
いつもより元気がない。
食事がほとんどとれていない。
赤ちゃんが眠っていても、なかなか眠れない。
強い不安や落ち込みが続いている。
涙が続き、日常生活がつらそうに見える。
そんなときには、
「産後だから仕方ない」
と決めつけないでください。
まずは、
「大丈夫?」
「何か困っていることはある?」
と声をかけてみてください。
気になる状態が続く場合には、本人と相談しながら、出産した医療機関、助産師、保健師、自治体の相談窓口などにつなげることも大切です。
お母さん自身が、疲れ切って「助けて」と言えないこともあります。
身近な人が変化に気づくことも、大切な支えの一つです。
二人だけで解決しなくてもいい
夫婦で協力することは大切です。
でも、夫婦だけですべてを乗り越える必要はありません。
家族や友人。
自治体の子育て支援。
産後ケア。
助産師や保健師。
医療機関。
家庭の外にも、頼れる場所があります。
パートナー自身が疲れているときにも、誰かを頼っていいのです。
「二人で頑張る」だけではなく、「二人で誰かを頼る」。
それも、子育ての大切な力だと思います。
家族になるということ
赤ちゃんが生まれたからといって、その日から理想の家族になれるわけではありません。
分からないこともあります。
意見が違うこともあります。
余裕がなくて、言葉が足りなくなる日もあるでしょう。
それでも、
相手の話を聞く。
できることを一緒に担う。
困ったときには外の力を借りる。
そして「ありがとう」を言葉にする。
そんな小さな積み重ねの中で、それぞれの家族の形ができていくのだと思います。
赤ちゃんが生まれた日。
誕生したのは、赤ちゃんだけではありません。
お母さんも、パートナーも、その日から少しずつ「親」になっていきます。
最初から上手にできなくても大丈夫です。
赤ちゃんだけでなく、お母さんも、パートナーも大切にされる。
そんな産後の時間であってほしいと思います。



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