赤ちゃんが、やっと眠ってくれた。
静かになった部屋でほっとしたのも束の間、
「今のうちに洗濯をしよう」
「哺乳瓶を洗わなくちゃ」
「夕食の準備もしておこう」
そんなふうに、次にやることを考えていませんか。
産後は、赤ちゃんが眠っている時間こそ家事を進めるチャンス、と思ってしまいがちです。
でも、出産を終えたお母さんの体は、まだ回復の途中です。
赤ちゃんが眠っているときは、お母さん自身の休息も優先してほしい。
今回は、産後1か月の「眠ること・休むこと」についてお話しします。
産後1か月、体はまだ回復の途中です
赤ちゃんとの生活が始まると、周囲からは日常に戻ったように見えるかもしれません。
でも、産後のお母さんの体の中では、出産後の大きな変化が続いています。
産褥期は一般に、出産後の体が妊娠前の状態へ戻っていくまでの6〜8週間ほどを指します。
帝王切開や会陰切開などの傷があれば、その回復にも時間が必要です。
さらに、出産後はホルモン環境も大きく変化します。
そこへ昼夜を問わない授乳やおむつ替えなど、赤ちゃんのお世話が加わります。
「出産したから、もう元の生活に戻れる」
という時期ではありません。
産後1か月は、赤ちゃんを育てながら、お母さん自身も回復している時期です。
赤ちゃんとの生活では、睡眠が細切れになります
新生児期は、昼夜に関係なく授乳やおむつ替えがあります。
やっと眠ったと思ったら、また赤ちゃんが起きる。
そんな毎日が続くと、まとまった睡眠をとることが難しくなります。
厚生労働省も、産後は夜間の授乳などによって睡眠不足になりやすいことを示しています。
私も助産師として、
「赤ちゃんが寝たら、お母さんも休んでくださいね」
と何度もお伝えしてきました。
ところが、自分が母親になってみると、これが意外と難しいのです。
赤ちゃんが眠ると、今度は家の中のことが気になります。
でも、睡眠が十分にとれていないときには、家事より休息を優先する日があっていいと思います。
「眠らなくちゃ」と頑張らなくてもいい
「赤ちゃんが寝た。私も今すぐ寝なくちゃ」
と思っても、すぐには眠れないことがあります。
赤ちゃんが起きないか気になったり、頭の中で考え事が続いていたり。
そんなときに、
「早く眠らなければ」
と焦ってしまうこともあります。
必ず眠ることを目標にしなくても構いません。
横になって体を休ませる。
椅子に座って、何もしない時間をつくる。
目を閉じて静かに過ごす。
「何かをする時間」を「休む時間」に変える。
まずは、それだけでもいいのです。
※赤ちゃんと同じ寝具で眠ることを勧めているものではありません。赤ちゃんは安全な睡眠環境に寝かせたうえで、お母さんも休めるときに休みましょう。
家事より休息を優先するために
「休んだ方がいい」と分かっていても、家事が目に入ると気になってしまいます。
そんなときは、最初から全部やろうとせず、優先順位を決めてみてください。
たとえば、
- 今日やらなくても困らない家事は明日へ回す
- 食事は簡単なものを利用する
- 家族に任せられることは具体的にお願いする
- 赤ちゃんが眠ったら、まず自分も座る・横になる
「家事を終わらせたら休む」ではなく、
「先に休んで、余力があったら家事をする」
くらいでもいい時期です。
私にも「小さな休憩」がありました
もちろん、赤ちゃんが眠っている時間を、いつも睡眠に使えるわけではありません。
私自身、赤ちゃんが眠ったあとに、大好きなお菓子をひとつ食べる時間が楽しみだったことを覚えています。
ほんの短い時間でした。
でも、育児とは別のことに少しだけ気持ちを向けることで、
「自分の時間が少し戻ってきた」
ように感じました。
休息の方法は、人それぞれです。
眠る。
横になる。
温かい飲み物を飲む。
好きな音楽を少し聴く。
大切なのは、赤ちゃんが眠った時間をすべて「やらなければならないこと」で埋めないことです。
眠れる状況なのに、眠れない状態が続くときは
産後は、赤ちゃんのお世話によって睡眠が細切れになることがあります。
一方で、赤ちゃんが眠っていて自分も休める状況なのに、眠れない状態が続くこともあります。
眠れないことに加えて、
- 気分の落ち込みが続く
- 強い不安がある
- 涙が止まらない
- 何をしても楽しめない
- 毎日の生活がとてもつらい
といった状態が続いている場合には、一人で抱え込まないでください。
産後は、ホルモンの変化、出産による体への負担、慣れない育児、睡眠不足などが重なり、心の調子を崩すことがあります。
気になる状態が続く場合には、産婦人科や助産師、保健師などに早めに相談してください。
「もう少し頑張ってから」ではなく、気になったときに相談して構いません。
産後の「休む」は、必要な時間です
産後は、家事が思うように進まない日があります。
洗濯物が残っている。
食事を簡単にした。
部屋を片づけられなかった。
それでも、お母さんが少し眠れたり、横になれたりしたのなら、その時間は決して無駄ではありません。
産後の体は、まだ回復の途中です。
赤ちゃんが眠ったら、
「今のうちに何をしよう?」
だけではなく、
「私も少し休めるかな?」
と考えてみてください。
休むことも、産後の生活に必要な予定の一つです。
花ことり
参考
厚生労働省「妊娠・出産・産後の不調」
厚生労働省「女性のうつ」
厚生労働省「産褥期うつ病(産後うつ病)」
こども家庭庁「赤ちゃんが安全に眠れるように」



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